2作品
貧しい百姓・弥平は、境界石の彼方に棲む老竜「野守」と、日の出から日没までの飛行で得られる土地の契約を交わす。竜は一片の嘘もつかず、ただ正直に時を告げ続けるだけだったが、際限なく広がる欲だけが、彼を破滅へと導いていく。
妻の小言から逃れて山をさまよう怠け者の男は、二十年に一度だけ竜の一族が開く無言の宴に迷い込み、盗み飲んだ一杯の酒とともに深い眠りに落ちる。目覚めたとき、彼だけが取り残されていたのは酒でも竜の悪意でもなく、現実の二十年という歳月だった。