2作品
心臓を患う人妻は、山道で隊商が竜に襲われ夫が落命したと聞かされる。喪失の底から、遠く谷を渡る竜の咆哮が、まるで己の自由を告げる声のように響く。だが生きて帰った夫を前に、同じ咆哮はもう自由の声には聞こえなかった。
真実の愛を伝説でしか知らぬ孤独な竜が、麓の学生の嘆きを聞き、己の心臓を氷結の棘に捧げて紅玉を生む。だがその贈り物は、宝石の前に一顧だにされず川へ捨てられる。