2作品
毎年山から鉱石と香草を担いで下りてくる若い竜は、商家の幼い娘に懐かれ、遠い巣に残した我が子を思い出しながらその時間だけを心の支えにしていた。だがある諍いの末に幽閉され、幾年もの時を経て解き放たれた日、娘はもう彼を覚えていなかった。
故郷を逐われた若い竜は、翡翠京の帳の奥に隠れ棲み、恐れられることで身を守りながら『大君』を演じ続けた。西の影狩りを討ち果たした少女澪たちの前で帳は破れ、竜は望郷と孤独に耐えかねて、ついに仮面を脱ぎ捨てる。